”外資系企業”というと、
アメリカのITや金融をイメージする日本人が多いのですが
実際は欧州系があったり、アジアの企業があったり、
さまざまな業界があります。
私はその中でもドイツ企業での勤務経験が
長かったため、
ドイツ企業がどんな感じ?だったか、
周りの知人の話なども含めて
思いつくまま
お話ししてみようと思います。
※業界や地域によっても差はありますので
全てのドイツ企業がこう!というものではございません
【外資系企業】ドイツ企業の特徴
ドイツと日本は国民性が似ている?
ドイツ人と日本人は国民性が似ている、と言われます。
勤勉でプロセスを重視し、
約束は守り秩序を守る、
この辺りが似ていると言われるのですが
確かに一理あるなあ、と個人的には思いました。
ドイツ人と仕事をしていた時、
全般的に考えると
とんでもないカルチャーショック、みたいなものは
非常に少なかったかと思います。
国によっては日本とはもう正反対で
仕事以前に国民性が違いすぎて
そもそも合わせるのがしんどい、
という場合もあるため
国民性が大きい括りで見ると近い、というのは
ドイツ企業を選ぶにあたってはメリットかもしれません。
さてそれでは、
ドイツ企業の特徴を見ていきましょう。
雇用を守るドイツ企業
ドイツ企業は日系企業のように雇用を守る傾向があります。
働く側も出来れば同じ会社で腰を据えて
長年働きたい、と思っている人も
結構多いと思います。
アメリカが転職の本場だとすると
ドイツは特に本国では
日本のように長期雇用が一般的で
「俺はこの会社でもう20年働いてるよ」
なんて人も、珍しくありません。
リーマンショックの時ですら
社員を切らずに、痛み分けして乗り切った企業もありました。
役員もいわゆる生え抜きが多かったりもします。
プロセス+文字での説明が大事
ドイツ企業は成果も求めますが、
プロセスも同じくらい、重視します。
アメリカ企業が結果重視、
日系企業がプロセス重視だとすると
ドイツ企業はアメリカ系と日系企業の中間、
と言えるかもしれません。
ドイツでは合理的で理論が通っていることが
非常に重要視されるため
説明する際も結果に対する
ロジックが整然としていることが求められ
ドイツでは文字で説明することが好まれます。
このため
メールがクソ長くなりがち
役員のパワポ、文字多くなりがち
なんていうことは、あるあるです。
結果だけ出せば細かいところは問わないアメリカや
南欧やアジアが文字より図や絵を好んで
喋りたがるのに比べると
結構違う文化かもしれません。
ワークシェアリングの意識
外資系企業に転職して、
成果を出した分だけ評価されたい!
個人として評価を受けたい!と、いうタイプの方は、
ドイツ企業はちょっと考えものです。
というのも、
業界や業種にもよりますが
ドイツはワークシェアリングの意識が高く
いつでも仕事のバックアップに入れるように
組織を作っていることもあるからです。
特にドイツ本国で働いている人は
ペアを組んで、片方が休んだら片方がバックアップに入る、
という進め方をしていることも多くありました。
誰がいつ休んでも、抜けても大丈夫なように
ファイルや資料の置き場所、その中身まで細かく
ルールにして決めて遵守する、ということまであります。
日本企業ほど業務分担が曖昧ということはなかったり、
日本企業ほど”お互い様の寄り掛かり”ではないとはいえ
もし個人プレーでガツガツ走りたい!と思っているのであれば
ドイツ企業よりは
アメリカ系や中国系企業の方がいいかもしれません。
ドイツは休暇取得に力を入れている
欧州系企業は休暇を大切にするのですが
ドイツ企業は会社にもよりますが
有休が多かったり
有休と別に1週間の休暇をくれたり
家族のための休暇を付与する、ということもあります。
もちろん、仕事はきっちりこなさなければならないのですが
会社が休暇を前提として動くため
無駄な仕事はしない、
休暇をとってリフレッシュをするということが
共通の価値観であるというのは
プライベートを大切にしたい方には良いと思います。
ただし、
管理職については話は別で
休暇中も常にスマホとPCは欠かさず持ち歩く必要はあります。
あえて上場しないドイツ企業
ドイツは、上場しない同族経営企業が多い、とも言われます。
有名どころでいうと自動車や家電のBOSCHなどですね。
米国企業は資金力でものを言わせるため
上場して資金を集めて大きな投資をしますが
その分株主の声が無視できなくなるため
短期的でお金に見える成果を求める傾向が強く出ます。
一方のドイツ企業はあえて上場せずに
株主に振り回されず
腰を据えて長期的に安定した
企業成長を目指す、とも言われています。
従業員の扱いも大切にしており
トレーニングの予算を厚めに取ってくれたり
向こう数年間の長期的なキャリア形成を
考える文化があったりします。
日本人は時価総額ランキングが出ると飛びつきますが
実は世界にはドイツ企業のように
そもそも上場していない世界的な名門企業があったりするのです。
ビジネスマナーがお堅い
日本人の感覚で望むと吉
外資系企業というと
アメリカをイメージして
上司も年齢も関係なくフランクなんでしょと
思う方もいるかもしれません。
しかし、
ドイツはアメリカとは異なり
超フランク、という文化は基本的にはありません。
ドイツ人の若者ですら
「ドイツはちょっとお堅いんだよね」と
いうほど、
特に初対面だったり
関係ができるまでは、ちょっと注意が必要です。
もちろん、会社の文化や業界、年齢層なども関係しますが
アメリカやイギリスのようなフランクなつもりで
ドイツ人に対してビジネスの場でいきなり接してしまうと、
苦い顔をされてしまいかねませんので
最初は最大限に丁寧にいきましょう。
その後、相手との関係や社内の関係を見ながら
丁寧度合いを調節していけば良いのです。
私個人の経験ですと、
例えばメールでのやりとりは
社内であってもMr. Msなどをつけることが基本で
特に博士については必ず
Dr.〇〇と呼ぶように
口酸っぱく指摘されたことすらありました。
このマナーを理解していなかった入社して間もないころ、
他部署の偉い人にHi Risa,とメールを書いて送ったら
Ccに入っていた上司に
「あんたなんなのこの礼儀のない文面は?!」と
ブチギレられたこともあります。
ちなみに日本人とベタベタに接したことがある
外国人の場合は日本人が英語メールで使う”〇〇 san”を
理解している人もいるのですが
個人的には違和感があり使いません。
ドイツの企業に入ったなら、
ドイツの文化に合わせた方が賢明と言えるでしょう。
博士は別格扱い
ドイツは技術の国、というだけあって
学歴が非常に重要です。
加えてその中でも、
理系の博士を取得した人は
名刺にDr.と記載されていたり
社内で呼ぶときもDr.と呼ばれたり、
もうなんというか、別格扱いなのです。
会社に入った時から彼らはエリートなので
扱いも周囲の目も違いますし
待遇も頭一つ飛び出ています。
日本では博士の待遇が悪いことが問題になっているようですが
ドイツの大学で博士号を取得した場合は、これはあり得ないのです。
おまけ:ドイツ企業の日本法人は、独特なことも。。。
ドイツ企業は他国の外資系企業と比べれば
業界にもよりますが雇用は比較的に穏やかなため
外資系企業と言っても
落ち着いて働きたい、という日本人が来る傾向があります。
ここで日本法人独特の問題になるのが、
(もちろん全員ではない、と前置きします)
日系企業には馴染めなくて飛び出した日本人が
ドイツ企業にたどり着いて
毒を吐きながら長期間ぬくぬくと雇われている
という状況がしばしば、起こるということです。
つまり、
日系企業からは追い出されるような
人間的にちょっと難ありな方が
運よくドイツ企業に潜り込み
白人経営層にゴマを擦りまくって
後から入ってきた日本人を虐め倒して追い出し
俺の帝国を作っていることがあるのです。
ドイツ企業は
アメリカ系企業のようなPIP(別名、追い出し部屋システム)がない事が多く
360度フィードバックもない事があります。
結構に保守的な側面が強いため、
裏を返せば問題児を追い出す自浄作用が弱いように思うのです。
ここについてはちょっと、注意したほうが良いかもしれません。
まとめ
ドイツ企業の特徴をお話ししてきました。
もちろん企業や職種にもよりますが
少しでも参考になれば幸いです!
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