日本では、切れる中高年が問題になっているようですが
中高年に限らず日本にいると節々で
理論ではなく感情的に押し切ろうとする場面を目にしないでしょうか。
私は英語を学んで
欧米の方とコミュニケーションを取るようになってから
あることに気づき
今でも欧米企業で働いているときは
意識して大切にしている事がああります。
さて、どう言うことなのか
見ていきましょう。
欧米とアジアのコミュニケーションの違い
- 欧米は言葉、アジアは感情でコミュニケーションする
日本を含むアジアは
同じ民族が同じ場所に定住するケースが多いなと思います。
同じ民族が同じ場所にとどまると言うのは
いわゆるその場所での常識や共通認識を育てるため
言葉で説明しなくても分かるだろ
察しろ
が通用するわけです。
日本人上司が「そんな事自分で考えろ!」と
逆ギレで済ませてしまう場面があるかと思いますが
これもおそらく言葉でのコミュニケーションに不慣れなために
説明するより感情が前に出てしまうのです。
察しろ、常識だろ文化においては
明確なルールや決まりを明文化することは好かれません。
決まりが曖昧でお互い探りながら
臨機応変に対応しなくてはいけない分かり難さが
日本の特徴かもしれません。
これは同じ人が集まっている、日本だからこそ通用する手法です。
一方で
欧米圏は移民の歴史ですから
背景も出身も宗教も違う人々が
交わりあいコミュニケーションを取るには
言葉で明確に説明しないと
お互いを理解する事ができないと言う背景があります。
教育の時点でも
日本が「この主人公の気持ちを説明しなさい」と問題を出すなら
欧米だと「これについてどう思うか理由を添えて述べなさい」になるイメージですね。
これにより
欧米圏ではわからない事があれば
納得いくまで相手に聞きます。
話し手には相手が理解できるように
説明する責任があると言う考え方があるため
日本語と比べると体感的には1.5倍以上、会話が多い印象すらあります。
欧米企業と日系企業のコミュニケーションの違い
- 日系企業は曖昧さが大切
日系企業は、欧米企業と比べると
規程や基準が非常に曖昧だなあと思う事があります。
日本語がそうさせる面もあると思うのですが
その時々でなあなあに物事を済ませていく事が
多いように思います。
そんな中で誰もが”空気を読み”ながら動くわけですが
受け側はわからない事があったとしても
欧米人のようにしつこく聞こうものなら
「そんなこともわからないのか」と
感情的になった相手から
コンコンとお灸を据えられてしまうかもしれません。
また、何かトラブルがあっても
感情的にカーーーっと
団体で取り組んで
喉元過ぎれば熱さ忘れる、になりやすいです。
日本人は欧米人の目には大人しく見えたとしても
内側は感情で燃えている文化なんだなあと思うのであります。
- 言葉で説明が命の欧米企業
欧米企業では総じてルールについて
はっきり言葉で明文化している事が多いなと思います。
欧米企業では統制を取ることに重きを置いており
基準やルールは社内で明確に文字として起こして
そこを見にいくと
その会社の社員が従うべき指針が書いてあるものです。
文字で起こさない限りは勘違いや揉め事のもとになるため
様々な人が集まる文化的背景も踏まえている側面もあるでしょう。
また、分からない事があれば
分かるまで確認するのが受け側の仕事であり
相手が納得するまで説得するのが
話す側の役割になってきます。
どんな時でも相手を尊重する姿勢を見せながら
感情ではなく、
言葉で論理的にコミュニケーションをとる、という事が肝になります。
日本人が欧米企業で働くときの注意点
もし欧米企業で働くのであれば
そこで働く人は欧米文化に合わせる必要がありますから
日本企業で通用していた
理論が不明確なまま感情で押し通そうとする手法を
欧米企業で欧米人に向けてやってしまうと
仕事ができない人の各印を押されてしまいます。
欧米企業で働くのであれば
自分が考えていることは
論理的に言葉で伝えることを肝に銘じましょう。
特にディスカッションの場面で
周りの欧米人を見ていると
日本人同士が会話する場面と比べて
体感的に1.5倍以上、会話量が多いと思います
分からない事があれば
明確に質問をする。
質問をされたら
感情的にならず、冷静に受け答えをする。
これが鉄則です。
「欧米企業だけど周りは日本人だから
関係ないわあ」と思っていると
これまた危険です。
なぜなら
欧米企業の日本法人で働く日本人は
思考が欧米人化している人が多いです。
そのため日本企業にいる日本人に接する要領で
説明しようものなら
「あのさ、あんた何言ってんだか分かんないよ。
時間が無駄だから出直してくれる?」と
ぶった斬られてしまうこともあるかもしれません。
私自身、外資に移ったばかりの時に
これを言われまして苦虫を噛み潰した事があります。汗
外資系企業で感情論をかますと、こうなる
- 「みんなで解決したいんです!」と泣いた同僚の末路
以前の職場で実際にあったことです。
私の後輩でAちゃんが入社してきました。
アメリカの大学を出ているとのことで
英語はネイティブより上手いくらいで
頭の回転も早く、期待のホープでありました。
そんなある日のこと
Aちゃんが一人だけぶっ飛んだ長時間残業をしており
かつ自分の待遇について
上司に噛み付いていると言う話が入ってきました。
程なくして
Aちゃんの上司から
「彼女がみんなと話したいと言っているので」と
部門全員が呼びつけられました。
会議室に呼びつけられた私たちに対して
Aちゃんは身の上を話し始めたのですが
自分の仕事を
マネジメントできていないことを棚に上げながら
「これは業務負荷が不公平なんです、
部門全体で改善して欲しいんですううう」
と、号泣し始めました。
日系企業であれば
若い女性社員が号泣したら
優しい先輩が駆け寄って
「それは大変だったね、、
じゃあ、どうやって仕事を分担しようか?」と
助けてくれるかもしれません。
しかし残念なことに
この部門のメンバーは
誰一人としてAちゃんを慰めようとはしませんでした。
Aちゃんが泣きべそかいているのですが
そこにいるメンバーは
「私たちの貴重な時間を浪費しないでくれない?」と
言わんばかりの険しい顔なのです。
これはなぜだったのでしょうか?
- 外資では自分から理論的に説明しよう
同僚の対応は塩っぱいなあ、と思うでしょうか。
しかしながら外資系企業(欧米企業)では
子供のように感情的になるやつは相手にするな、が鉄則です。
表面的に優しい言葉をかけたとしても
世話はしないのです。
さて、この状態で
Aちゃんがすべきだった行動は何だったのでしょうか。
例えばこんな感じになるでしょう。
①現状把握:何がどのくらい回っていないのか
②背景:現状に至った背景
③原因:現状が起こってる原因
④放置した場合の影響
⑤提案:問題を解決するための提案を、結論から話す
本来Aちゃんはこの①から④を
早い段階で自分から上司と話をして
提案に対して上司から了承を勝ち取る必要があったのです。
「ご相談がありまして、
私が担当している顧客に対して
3ヶ月の間だけ、2名毎日2時間ほど
応援を入れていただけないでしょうか。
顧客への納入は3ヶ月後となるのですが
予定していたスケジュールより
弊部署の対応が現時点で1週間遅れています。
これは顧客からの要求が当初想定から30%増えている事が背景で
この顧客要求に対応するための弊社システムの改修が
本国で遅れている事が原因です。
システムの改修が終わるまでの間は
人海戦術で対応するしかないのですが
私一人で対応しているものの
遅れが避けられない状態です。
このまま私一人で対応した場合は
最悪顧客への納入遅延につながります。
そこで私の他にあと2名、
システム改修が終わる3ヶ月後までの間のみ
応援をいただきたいと思います。
お任せしたい業務は1日あたり2時間ほどとなります。
ご協力いただければプロジェクトは予定通り進み
顧客の信頼を保持できるため
さらなるビジネス獲得にも活きると確信しています。」
みたいな感じです。
外資系企業で働く以上は
「仕事が回ってないんですううう」と
感情丸出して上司に泣きついても、相手にされません。
冷静に自分の状況を自分で把握し
チームと上司を自分で説得していかなければならないのです。
- 外資ではセルフマネジメントが命綱
中途採用で雇っている以上は
外資系企業ではこう言ったセルフマネジメントが
できるものとして雇われています。
最初のうちは上司もフォローするかもしれませんが
基本的には足手まといの弱い個体は見捨てる
サバンナの野生動物のような環境だと思った方が賢明です。
これは外資系企業であれば概ねどこの職場も同じだと思います。
日系企業では多分これはパワハラと言われてしまいますが
外資系企業では、社会人として当たり前なのです。
Aちゃんはその後半年ほど何度かこれを繰り返しましたが
最後は退職して行きました。
実は、私はその間に
上司から愚痴を聞かされていたのですが
上司に聞いた話では
どうもAちゃんは上司の助言を聞き入れず
アメリカ仕込みの
自己主張だけはするスタイルだったそうです。
そこで上司は
このままチームにおいておいても
本人も周りも不幸と判断して
自主退職してもらう方向にした、とのことでした。
感情的に振る舞うと
居場所をなくす、と言うことを
ありありと見せつけられた一件でありました。
会社の文化をよく理解して
戦略的に賢くコミュニケーションをとっていきたいものですね!
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
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